製造業の外注先(協力工場)の探し方|町工場の社長に聞いた「見つからない」本当の理由と5つの対策
執筆:Milly編集部 監修:赤沢キョウスケ
この加工、どこに頼めばいいのか。製造業で仕事をしていると、一度はこう悩んだことがあるはずです。
自社でできない工程がある。量が多くて手が回らない。長年付き合ってきた外注先が廃業してしまった。理由はさまざまですが、 外注先(協力工場)探しは、町工場にとって必要なのにうまくいかない仕事 の代表格です。
この記事では、Millyの営業として町工場を訪ねる中で私たちが伺ってきたお話をもとに、現場の皆さんが 実際にどうやって外注先を探しているのか 、 どこでつまずいているのか を整理しました。そのうえで、外注先探しで失敗しないためのポイントをまとめています。
この記事のもとになった情報について
- 対象 :Millyの営業として町工場を訪ねる中で伺ったお話
- 業種 :切削加工、研磨加工、板金・製缶、溶接、歯車加工、制御盤製造、めっき、ダイカストなど
- 方法 :伺ったお話の中から、外注先・協力工場の探し方に関するものを抜き出し、要約して整理
※ 個別のお話は、会社や個人が特定されないよう要約しています。本記事は統計調査ではなく、現場の声を集めた定性的なまとめです。
1. 現場の探し方は「仲間 → 材料屋・商社 → 外部」の順番
外注先を探すとき、最初の相談先として名前が挙がったのは、インターネット検索ではなく、付き合いのある 同業の仲間 でした。
私たちが伺った溶接・機械加工の会社の社長は、まず仲間に聞いてみて、それで見つからなければ他を探す、と話していました。外注先は仲間同士で融通し合うもので、忙しいときに仕事を抱えることがあるのもお互いさまだと分かっている、というお話でした。
仲間で見つからない場合、次に相談されるのが 材料屋さんや商社 です。ある板金・製缶の会社では、取引先のメーカーが溶接ものを頼める先が減って困り、材料屋さんに相談したところ、その材料屋さんの紹介で図面が持ち込まれたそうです。
ただし、人脈に頼る探し方には限界もあります。
歯車加工の会社の社長からは、名刺はたくさんあるものの、それぞれが何をしている人なのかはほとんど分からない、というお話を伺いました。同業者が探している外注先も、たいていは自分も知っている会社で、それでも見つからないのは自分の人脈だけでは足りないということだろう、とも話していました。
名刺や連絡先はあっても、 その会社が何を得意としているかまでは把握できていない 。これが、人脈だけで探す方法の弱点です。
2. 本当の壁は「見つからない」より「信用できるか判断できない」
お話を伺っていくと、外注先探しの難しさは、候補が見つからないことだけではありませんでした。複数の方から聞かれたのが、 見つけた相手を信用していいのか判断できない という悩みです。
研磨加工の会社の社長は、信用は得るのに時間がかかるのに失うのは一瞬なので、新しい外注先に頼むのは勇気がいる、と話していました。同じ設備を持っている会社同士でも、腕には差があるのが実情だそうです。
受託加工の会社の方からも、得意な加工は分かっても、品質保証の体制が大丈夫なのか、本当に頼りにしていい会社なのかは判断しにくい、というお話を伺いました。
設備の一覧や、何でもできるという説明だけでは、仕上がりの品質や納期を守ってくれるかは分かりません。取引の途中で相手と連絡が取れなくなり、困った経験を伺ったこともあります。
外注先探しは、 「探す」ことと同じくらい「見極める」ことが難しい のです。
3. 見つからないと何が起きるか ── 仕事を断ることになる
外注先が見つからないと、現場では何が起きるのでしょうか。複数の会社で聞かれたのが、 せっかくの仕事を断る という結果です。
ある切削加工の会社の方は、断るのはもったいない案件があっても、急ぎで答えを求められることがよくあり、そこから初めての相手を探し始めてもまず間に合わない、と話していました。
研磨加工の会社の社長からは、取引先が研磨を頼める先を知らなかったために、それまで仕事を断っていたと聞いた、というお話を伺いました。 頼める先を知っているかどうかだけで、受けられる仕事の幅が変わる ことが分かります。
また、腕のいい外注先ほど仕事が集中して、詰まりやすくなります。歯車加工の会社の社長は、上手な外注先ほど人気が出て、納期が守れなくなっていくと話していました。別の切削加工の会社の社長も、頼みたい時期より大幅に先の納期を提示され、結局は仕事を断ることになる場合がある、と話していました。
1社に頼り切っていると、その会社が忙しくなった時点で手詰まりになってしまいます。
4. 背景にあるのは、廃業と世代交代
外注先探しが年々難しくなっている背景として、複数の会社で話題に上ったのが 廃業と世代交代 です。
溶接・機械加工の会社の社長からは、高齢の職人さんだけでやっている取引先の鉄工所が廃業を決めた、というお話を伺いました。研磨加工の会社の社長からは、親会社の協力会に入っている会社の数が、廃業によってこの数年で大きく減ったと聞きました。
板金・製缶の会社の方は、取引先の世代交代が進んでいて、廃業に向かう会社もあれば、後継者がいても先代ほどの力がない会社もある、と話していました。
長年頼ってきた外注先が、ある日廃業を決める。私たちが伺った中でも、こうした話は一社だけのものではありませんでした。
価格の感覚が変わってきているという話もありました。ある切削加工の会社の方からは、ここ数年で加工の時間単価の相場が上がってきており、以前の水準では引き受けない会社も増えている、というお話を伺いました。
一方で、作り手が減っているのに昔の価格のまま新しい外注先を探す発注側に対しては、厳しい意見も聞かれました。溶接・機械加工の会社の社長は、これまでの価格でできていたからそれ以上は出せないという発注側の言い分も分かるが、本当に作り手がいなくなったらどうするのか、と疑問を口にしていました。
5. 外注先探しで失敗しないための5つのポイント
ここまでの現場の声をもとに、外注先探しを成功させるためのポイントを5つにまとめました。
ポイント1:困る前に探しておく
急ぎの案件が来てから探し始めても、間に合わないことがあります。 仕事に余裕があるうちに候補を見つけ、何が得意な会社かを把握しておく ことが一番の備えです。
ある切削加工の会社の社長は、営業の電話をかけた先が仕事を探していると分かると、得意な加工を聞いて控えておくようにしているそうです。こうした日頃の小さな積み重ねが、いざというときに効いてきます。
ポイント2:主力は絞りつつ、予備の候補を持つ
制御盤メーカーの営業の方からは、外注先を広く浅く持つよりも、少数の会社に絞って自社のやり方を分かってもらう方が仕事がしやすい、というお話を伺いました。主力の外注先とは深く付き合う方が、品質も安定します。
ただし、主力1社だけに頼ると、相手が忙しいときや廃業したときに手詰まりになります。 主力を絞りつつ、工程ごとに予備の候補を持っておく のが現実的です。
ポイント3:「何ができるか」より「どこまで任せられるか」を確認する
設備の一覧だけでは、実力は分かりません。初めての外注先には、次のような点を確認しておくと安心です。
- 図面どおりに仕上がらなかったときの対応(再加工・検査体制)
- 検査データやミルシート(材料の証明書)を出してもらえるか
- 得意な加工・材質・サイズ・ロット数
- 今の繁忙状況と、無理のない納期
- 取引の実績や支払い条件など、継続して付き合える相手か
ある切削加工の会社の社長は、外注先に求めるものとして品質を第一に挙げ、図面どおりに仕上がらなかったものをめぐるやり取りが最も負担になると話していました。最初は小さな仕事から頼み、実績を積みながら信頼関係をつくっていくのが確実です。
ポイント4:適正な価格で頼む
作り手が減っているいま、昔の単価のままでは引き受けてくれる先が見つかりにくくなっています。 長く付き合える外注先を確保するには、相手が続けられる価格で頼むこと も大切です。
ポイント5:自社の得意を発信し、「見つけてもらう」側にも回る
外注先探しは、裏を返せば受ける側にとっての営業チャンスです。
ある切削加工の会社の社長は、自社の得意な加工をいかに簡潔にはっきり伝えるかが大事で、どんな材料をどう加工できるかを一言書いておくだけでも、相手にイメージしてもらいやすくなると話していました。
自社の得意な加工をはっきり発信しておけば、外注先を探している会社から声がかかるきっかけになります。お互いが得意を見せ合えば、「探す」と「見極める」の手間も減っていきます。
Millyでできること
Millyは、製造業のためのAI営業・案件管理サービスです。過去の受注・発注の実績を登録すると、AIが実績を読み取り、 その会社を勧める理由つきで協力工場の候補を提案 します。
頼める先がないために仕事を断る場面を減らし、自社の得意を実績として見せられる仕組みをつくりたい方は、ぜひ一度ご覧ください。
まとめ
- 現場の外注先探しは「仲間 → 材料屋・商社 → 外部」の順番。ただし人脈だけでは、どの会社が何を得意としているかまでは分からない
- 本当の壁は、見つからないことより、信用できるかを判断できないこと
- 見つからないと、せっかくの仕事を断ることになる。腕のいい外注先ほど仕事が詰まりやすい
- 背景には廃業・世代交代があり、外注先は年々減っている
- 困る前に探す、主力を絞りつつ予備の候補を持つ、任せられる範囲を確認する、適正価格で頼む、自社の得意を発信する、の5つが対策になる
よくある質問
- Q. 外注先(協力工場)はどこで探せばいいですか?
- A. まずは付き合いのある同業の仲間や、材料屋さん・商社に相談してみるのが近道です。それでも見つからない場合は、展示会やインターネット、マッチングサービスを使う方法もあります。
- Q. 初めての外注先を選ぶときは、何を確認すればいいですか?
- A. 得意な加工・材質・ロット数に加えて、検査体制やミルシートの有無、今の繁忙状況、図面どおりに仕上がらなかったときの対応を確認しましょう。最初は小さな仕事から頼み、実績を積みながら判断するのが確実です。
- Q. 外注先は何社くらい持っておくべきですか?
- A. 決まった数はありません。ただ、主力を1〜2社に絞って深く付き合いつつ、工程ごとに予備の候補を持っておくと、繁忙期や廃業のときにも慌てずに済みます。